定番ふくい郷食ダイアリー
そのネーミングに驚き、
滋味に癒される「なまぐさ汁」。
毎月、未来に伝えたい福井の郷土料理を紹介していますが、10月号は「なまぐさ汁」です。実は福井県内でも小浜市のある地域でしか作られていない焼き鯖を使用した料理で、伝統通りに作ることができる人も限られた逸品だったことが分かりました。
小浜市の東部に位置する宮川地区には6つの集落があり、その中でかつて『霞美ヶ城』というお城があったことや山越えして魚が手に入ったなどの影響から、食材が豊富だった新保地域だけで作られてきた伝承料理です。
昆布と焼き鯖の頭で出汁をとるという、何とも驚きの光景から調理は始まります。たくさんの具材と一緒に焼き鯖の身を入れてひと煮立ちしたら完成する、実はとてもシンプルな料理でした。
さて、味わいは? 名前のような臭みはなく、具材や焼き鯖の旨味がとけ出した澄んだ出汁がとても滋味深く、美味でした。「心が洗われるような味」と絶賛する人もいる、唯一無二の郷土料理の詳しいお話は、ぜひ本誌をご覧ください。
(月刊ウララ編集部・田中弘)